wikipediaには、その言葉についてこう記されています。
素性やプロフィールをほとんど明らかにしない作家のこと。
つまりは、正体を明かさないことが覆面作家(覆面漫画原作者)となります。
ですが、漫画業界には覆面作家(覆面漫画原作者)としてデビューし、連載途中や完結後に、覆面を脱いだ漫画原作者がいます。
この記事は、そんな漫画原作者たちをまとめました。
『少年Y』ハジメ→施川ユウキ
この作品は、別冊少年チャンピオンで連載されていました。
全8巻で完結済みです。
あらすじはこうです。
中学2年生の・栗原ユズルが転校先の教室で迎えた圧倒的絶望とは...!?
手にしてしまった神の権限。
今、少年に迫られる究極の選択!!「命のランク付け」に焦点を当てた前代未聞のパニック・サスペンス!!
パニックサスペンスものというより、デスゲームものとして非常に面白かった作品です。
4巻の帯で「実はハジメは、施川ユウキだった」と原作者の正体が明かされました。
『少年Y』の原作者は、アニメ化もされている『バーナード嬢曰く。』の施川ユウキ先生でした。
正体が明かされた当時に高校生だった僕は、施川ユウキ先生のことを知らなかったので、「誰ッ!?」という疑問しか抱きませんでした。
ですが、その公表が施川ユウキ先生を知るきっかけになりました。
また、ハジメが施川先生だったということは、施川先生の読者が、ハジメ名義で書かれた『少年Y』を手に取るきっかけになります。
原作者の正体を連載途中で公表することは、新たな読者に興味を持たせるきっかけとなり、売り上げを伸ばすことに繋がるのかもしれませんね。
『声優ましまし倶楽部』目黒ひばり→乃亜
この作品は、ジャンプ+で連載されていました。
全3巻で完結済み。
あらすじは、こんな感じです。
新人声優の真島いちはる。
好きなものは自分! 自分大好き!!
トップアイドル声優になってチヤホヤされたい褒められたい...
そんな熱い情熱(?)で夢に向かって歩き出す!
ちょいイタ系女子の声優青春4コマ!
正直、この作品はよくわからないです。
この作品は、声優漫画として連載されていたのですが、原作者は声優ではなく、AV女優でした。
ゲーム大好きアダルト女優・乃亜が『ジャンプ+』の声優マンガで原作担当!?をカミングアウト! https://t.co/BcnHTCV9Fj @shupure_news
— 週プレNEWS (@shupure_news) March 13, 2016
当時は連載終了間近に、原作者の正体が明かされました。
原作者の正体に関して「なぜ声優漫画の原作者がAV女優なのか?」などの賛否両論が起こり、ネット上でプチ炎上しました。
覆面作家(覆面漫画原作者)を貫いていれば、炎上は起きなかったはずです。
『ミリオンジョー』十口了至→古屋雄作
この作品は、週刊モーニングで連載されていました。
全3巻で完結し、実写ドラマ化も果たしています。
あらすじ。
最新巻の初版部数が500万部を超えるなど、数々の記録を更新し続け、多くの人々に勇気・希望・興奮を与える少年漫画の金字塔『ミリオンジョー』。
その作者・真加田恒夫が連載中に急死したー!
担当編集の呉井は続きを持つ読者のため、真加田の死を隠蔽し、自らが続きを書くことを決意する...!
編集者が漫画家のふりをして書くという行為は、新手の覆面だと思います。
ドラマ化の決定とほぼ同時に原作者自身がTwitterで正体を明かしました。
2013~14年に週刊モーニングで『#ミリオンジョー』という漫画が連載されていました
— 古屋雄作 (@yusakufuruya) July 8, 2019
原作者「十口了至」が実は僕です。
ずっと人には言ってなかったのですが、この度ありがたくも連続ドラマ化されることになったので、せっかくなので。。
放送にあたってはキャピキャピ盛り上がりたいと思ってます pic.twitter.com/V7TKbZletD
正体を明かしたツイートは拡散され、漫画作品の売名・ドラマ化の宣伝に繋がりました。
また、古屋先生は『うんこドリル』の作者で知られています。
『うんこドリル』は、計算や漢字をうんこを通して学ぶことができるというものです。
『うんこドリル』の作者と『ミリオンジョー』の原作者が同じなんて、作風が違いすぎて未だに信じられません。
『バイオレンスアクション』沢田新→室井大資
あらすじ。
暴力団抗争の行き違いから、 組に家族を殺された拷問専門の[医者]。
[医者]は復讐を誓い、 組潰しを「殺し屋派遣業」に依頼する。
派遣されたのは[簿記専門学校生]の[女子]。 彼女こそ指名NO.1の凄腕ヒットガール。 名前は――[ケイ]。
連載当初、やわらかスピリッツに載っていた沢田新先生のプロフィールには“和歌山県出身在住の専業主婦”とされていました。
しかし、2巻が発売してすぐに正体が室井大資先生であることが明かされました。
和歌山県出身在住の専業主婦は嘘で、真実は福島県出身の漫画家となります。
公表されたのは、小林銅蟲先生『めしにしましょう』の単行本の書き下ろし部分でした。
室井先生自身の単行本ではなく他の漫画家の書き下ろし部分で覆面を脱ぐことで、自身と他者の両作品を手に取ってもらう相乗効果を狙ったと考えられます。
覆面を脱いだ後、『バイオレンスアクション』は橋本環奈さん主演で実写化される人気作品となっていきました。
最後に
覆面を脱ぐことは、売り上げを伸ばすことに繋がったり、ネットを炎上させて売名することに使えると思います。
あえて「覆面作家(覆面漫画原作者)」としてデビューし、話題作りのために計画通りに覆面を脱いでいるのかもしれません。
ちなみに、覆面の漫画原作者はまだいます。有名どころを、お二方ほど紹介します。
一人目は、『亜人』、『天空侵犯』の三浦追儺先生。
二人目は、『DEATH NOTE』、『バクマン。』、『プラチナエンド』の大場つぐみ先生です。
先生方が覆面を脱ぐ日は来るのでしょうか...?