これは約1カ月間Tinderを使った記録。
2020年3月11日。
東日本大震災で日本が揺らいだ9年目の日に、僕の心は出会い系アプリ・Tinderをインストールするかどうかで揺れていた。
僕は左手にスマホを持っていた。
スマホの画面にはTinderのアプリ紹介サイトが写っていた。
僕は画面を右手の人差し指でスクロールした。
僕はスクロールしながら葛藤した。
と同時に過去の記憶を思い出していた。
友達はTinderを使って多拠点にセフレを作った(以下、多拠点セフレマン)。
僕は多拠点セフレマンに「いや、でもそういうアプリってさ....なんだろ...きもいやん?」と言った。
僕は我に返った。
僕は宮崎県日南市という人口約5万人の街(ど田舎)に引っ越してきてから、女性との出会いがほぼなかった。
僕は僕を客観視した。
彼女いない歴2年目を迎えようとしている僕は、右手では抑えることが出来ない肉欲の処理を出会い系アプリにお願いしようとしていた。
僕は「いや、待て、僕。やっぱキモイからやめよう」とあえて声に出し、いったん彼女をTwitterで募集してみて反応がなかったらTinderをすることにした。
女性からのいいねはついた。しかし、DMは来なかった...。
僕は過去の自分をぶち殺すことにし、Tinderのインストールボタンを押した。
インストールはほんの数分で終わった。
その後、僕はTwitterでこう発言した。
僕はTinderの画面に戻った。
始めは、ゲームのチュートリアルのようにTinderの機能説明があった。
と同時に、課金をしたら、さまざまなことが出来るようになると告げられた。
僕はTwitterでの発言通りに、TinderをTwitterと同じアイコンに設定。
Tinderには、写真を何枚か追加し、女性に見てもらえる機能があった。
僕は生活感あふれる自撮りを追加。
プロフィールはこうした。
宮崎県日南市在住。
シェアハウスに住んでいます。
昼は書店&レンタルショップで、夜はゲストハウスで働いています。
よろしくどうぞ。
多拠点セフレマンが「プロフィールに好きなものや動物などの画像を入れておくと会話のネタになるよ」とアドバイスをくれた。
僕は僕の好きなお菓子・ふ~せんの実ガムと好きな動物・うさぎとウーパールーパーを追加した。
Tinderは、出てきた女性にLIKE(いいね)かNOPE(いまいち)をすることができた。
お互いがLIKEをするとマッチし、会話ができるようになるという仕組みだ。
僕はTinderに出てきたほぼすべての女性をLIKEした。
なぜなら、僕ごときの男が女性にNOPEをするのはいけない気がしたからだ。
LIKEしつくしてしまい、Tinderに「あなたの周りに新しい人はいません。」と言われた。
僕はだいたい20人ほどにLIKEした。
Tinderをインストールした初日は女性からの反応はなかった...。
しかし、2020年3月12日午後10時頃にそれは起きた。
Tinderでマッチした一人目の女"ゆか"
正直に言うと、始めてマッチしたので死ぬほど嬉しかった。
この女性は、26歳だった。
僕は年上が好きなので嬉々として速攻でメッセージを送った。
しかし、会話文をスクリーンショットする前にマッチを解除(Twitterでいうブロ解みたいなもの)をされてしまった。
マッチを解除されてしまったので、メッセージが全部消えた。
覚えている範囲だが、メッセージのやり取りはこうだったはずだ。
こんばんは!
雄也です。
宜しくお願いします!
やほ!
やほ!
昨日、Tinderを使い始めました!
まだ使い方がよくわかってないです...
と、発言した後にマッチを解除された。
衝撃だった。
挨拶を返し、Tinder歴が浅いことを伝えただけで、マッチを解除された。
衝撃すぎた。
僕のなにがいけなかったのか考えたが、よくわからなかった。
考えている合間に、もう一人ほどマッチしたので、僕はその女性と話すことにした。
Tinderでマッチした二人目の女“れいな”
この女性は19歳だった。
年下は好みではなかったが、とりあえず話してみることにした。
こんばんは!
雄也です。
よろしくお願いします。
よろしくですー
今日はお仕事ですか?
僕は仕事です...。
休み!
連休祭り(笑)
やっぱり、コロナの関係で連休なんですか?
ですな!
という感じで、他愛もない会話をしていた。
僕は適度にそれを繰り返して、LINE交換に持ち込もうとしていた。
けど、この女性のプロフィールを確認してみると僕の住所から53kmも離れていた。
仲良くなったとしても、遠すぎるから、僕は話すのを辞めた。
僕はTinderの最長距離設定(出会う/出会える範囲のこと)を見直し、21Kmに設定した。
設定した直後に、Tinderから僕のスマホにある通知が来た。
マッチできなかった女
驚いたことに、僕ごときをLIKEしてくれた女性がいた。
しかし、その子がどんな子かは課金をしないと見れなかった。
下心が有り余っている僕はすぐに課金をすることを決断した。
僕は財布からクレジットカードを取り出した。
Tinderのフォームにクレジットカードの情報を書き、申し込みボタンを押した。
だが、課金の申し込みができなった。
僕のクレジットカードはJCBだった。
調べてみると、TinderはJCB非対応だった...。
これは、絶望した時の僕。
写真は多拠点セフレマンに笑われながら撮られた。
僕はJCBのクレジットカードしか持っていなかった。
僕は課金ができないことを知った。
僕は僕にLIKEをくれた女性と連絡をとれないことが分かった。
2020年3月13日午後2時頃、僕は無課金でTinderを継続することになった。
Tinder歴1週間が経った男"雄也"
3月18日、Tinderを使い始めて1週間が経ったが、未だに一人も出会えていなかった。
最長距離設定を狭めたことでマッチする確率も縮まり、無課金ということで余計に出会う確率が低くなった。
僕はど田舎×無課金という組み合わせに鬼畜さを感じた。
Tinder歴1カ月が経った男“雄也”
2週間、3週間と時間が経つが一向にマッチせず、とうとうタイムリミットの4月11日を迎えてしまった。
結局、僕にLIKEをしてくれた女性は3人だった。
僕が持つクレジットカードのせいで課金ができないので、マッチすることは出来なかった...。
当初、立て続けに2人とマッチすることが出来たので、幸先が良く思えたが、とんだ竜頭蛇尾だった。
僕はアカウントを削除する手続きを始めた。
「その他」を押すことで退会理由を書き込むことが出来た。
という意味深な文言にして、運営に送りつけてみた。
僕は「アカウントを削除」のボタンを押す際にこの1カ月を振り返った。
理想の女性にかすりもしなかった。
一度のパコリもなかった。
この1カ月はまさにNOPE(いまいち)でしかなかった。
削除は「出会い系アプリで理想の女性と出会えるかもしれない」という淡い期待と、「もしかしたら出会えなくても一度のパコリぐらいはあるかもしれない」と思っていた自分との決別と同義だ。
僕は我に返り、「アカウントを削除」ボタンを押した。
Tinderはログイン画面に戻った。
それはTinderから"雄也”がいなくなった証だ。
もし僕のクレジットカードがTinderに対応していれば、違った展開があったはずだ。
そこだけは悔しかった。
Tinderをしたことでひとつだけ分かったことがあった。
それはど田舎×無課金は鬼畜であるということだ。
僕はTinderをアンインストールした。
2020年4月11日。
僕は、ど田舎でのLIKE(いいね)な出会いを待ちわびながら、Tinderを辞めた...。