才能の食べ方

雑記の才能について

才能の食べ方

リリイ・シュシュと僕の呼吸の話

深夜1時頃。

ドライブを兼ねて約10年ぶりに母校の中学校に行ってみた。

母校と言っても2年生から不登校だったから思い入れはなく、むしろ中学校を燃やしたいほどの殺意を抱えていた。

中学校の卒業アルバムは卒業式の日にカッターナイフで切り刻んで捨てた。

中学校卒業と同時に引っ越した。

その地で呼吸する度に、死にたくなるほどの不快感を覚えたからだ。

それほど僕は中学校が嫌いだった。

なぜ中学校にもう一度行ってみようと思ったのか?は分からなかった。

しいて言えば、成長したからなのだろう。

僕が不登校になった理由の1つに社会科の教師からのいじめがあった。

ソイツの名前をインターネットで調べたら、もう中学校では働いていなかった。

にもかかわらず、県教育委員会に属していて憎たらしかった。

僕がソイツにいじめられていることを当時の担任に打ち明けても何もしてもらえなかったことを思い出して、少しだけ心の傷が疼いた。

けど、10年後のいまに10年前ほどの禍々しさはなかった。

心の傷を受け入れた証拠だと思う。

時間は心の傷を癒す最高の薬かもしれない。

車を中学校の近くの空き地に停めた。

両耳にワイヤレスイヤホンを入れてSpotifyで音楽を流し、中学生の時に住んでいた団地から中学校までを歩いてみた。

僕は通学路を歩いた。

一歩一歩を踏みしめた。

精一杯に深呼吸をしながら。

シャッフル再生にしていたSpotifyから偶然にリリイ・シュシュ『回復する傷』が流れた。

涙が止まらなかった。

ほとんど歩かなかった通学路、理不尽な説教、別室登校、僕だけがいない教室、中学生の時のすべての記憶が涙と共に流れた。

僕は涙を自分自身の手で拭いた。

15歳の僕の涙を、もうすぐ25歳の僕が拭ったような気がした。

僕はもういちど呼吸した。

深く、深く、深く、呼吸をした。

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