本の電子書籍化が当然の出版業界となりました。
ですが、そんな電子書籍時代の中でも電子化されていない漫画があります。
今回は、少年誌で連載されたホラーマンガに絞ってまとめてみました。
『学校の怖い噂』
全5巻。
原作は亜樹直先生、作画はひきた美幸先生。
週刊少年マガジンで1994年第15号から1995年第3・4号まで連載されました。
第1巻のあらすじはこうです。
奇妙な噂を耳にしたり、キミ自身が不思議な体験をしたことはないだろうか……?
どこにでもある学校とどこにでもいる生徒たち……。
しかし、そこに本当の恐怖が潜んでいるのです。
基本的には前後編で構成されたオムニバス形式の作品です。
原作の亜樹直先生は『金田一少年の事件簿』を手がけた樹林伸先生の別名義です。
作画のひきた美幸先生は1996年以降、新作の発表がありません。
駿河屋では全5巻にプレミア価格がついており入手困難です。
オムニバス形式の作品ですから、電子化されるとしたら前後編パックのような売り方ができそう。
推し話『プール・ジョージの噂(前後編)』
どの話も印象的なのですが、中でも個人的に強烈なインパクトを受けたのが第3巻に収録された『プール・ジョージの噂』です。
世にも奇妙な体育教師の話だと思います。
水泳の授業で上手く泳げていないことに劣等感を抱いた主人公の男子小学生が放課後に残り、学校のプールでひとりで練習をしています。
すると、元教師を名乗る児玉丈治(プール・ジョージ)が水底から現れます。
ジョージは主人公に泳ぎ方を教えるようになりますが、なぜか日に日に主人公は痩せこけていきます。
ややあって、痩せこけた主人公の友達が気にかけてくれたことにより、ジョージが実は死んでいることを知ります。
勘付かれたジョージは主人公の家に襲いにいきます。その時のジョージの殺意に満ちた表情がおぞましいです。
最後にジョージはどうなったのかは、ぜひその目でお確かめください。絶版の希少性あふれる怖い話は強烈な恐怖を与えてくれるはず。
『涅槃姫みどろ』
全6巻。
原作は大西翔平先生、作画は中里宣先生。
週刊少年チャンピオンで2006年2月から2007年3月まで連載されました。
あらすじはこう。
厄い所に、みどろ在り!!
現代怪奇絵巻!! 涅槃、それは現世とあの世のハザマ!!
涅槃城の城主にして魅惑の美少女・みどろ…彼女の去った後には、ただ月光がまたたくのみ…。
1話完結形式の作品のため、どの話からも読めます。
『笑ゥせぇるすまん』や『地獄少女』を連想させるような勧善懲悪よりのホラーものだと思います。
原作の大西翔平先生は京都精華大学マンガ学部の講師をされています。
作画の中里宣先生は『涅槃姫みどろ』以降新作がありません。
ブックオフオンラインでは、1冊150円〜200円ほどで買うことができます。
全巻揃えるなら、1200円程度です。
推しの話『蒐集』
第2巻に収録されています。
コレクターがコレクションになる話です。
古書の収集癖があるキャラクターが骨董屋の非売品にまで物欲を抱いてしまい、盗みを働いてまでも手に入れようとします。
そんなキャラクターを主人公のみどろが成敗します。
コレクターが自分が好きなコレクションになるオチは皮肉が効いています。
みどろには決め台詞「厄いわね(やくいわね)」があります。
それは『地獄少女』の閻魔あいの「いっぺん、死んでみる?」や『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造の「ドーーン!!」のように不気味で印象的です。
全54話のほとんどが1話完結です。
アナタがイケてる厄い話に出会えることを願ってます。
『禍霊ドットコム』
全3巻。
原作は森一生先生、作画は犬威ソーダ先生。
月刊少年ライバル(※現在は廃刊)で2008年9月から2009年9月まで連載されました。
あらすじです。
高校生の御堂駆人はある日、見た者に呪いの予言をするサイト「マガツヒドットコム」を見てしまう。
呪いの予言により駆人の身の回りで次々と起こる惨劇――。
そして、駆人自身にも呪いが…。
主人公の御堂駆人が呪いの予言サイト“マガツヒドットコム”の謎を追うホラーサスペンスものです。
ひとつの謎を解明するごとに新たな謎が謎を呼ぶ連作短編形式のため、読切ものとしても面白く、長編ものとしても楽しめます。
ただ、3巻で打ち切りのため肝心の“マガツヒドットコム”の謎は解明されないまま終わってしまいます。
原作の森一生先生は釣りマンガを描いたり、名義・阿鬼乱太で『閲覧注異』という都市伝説漫画のネーム原作も描かれています。
作画の犬威ソーダ先生は名義・白狼でライトノベルのイラストも手がけています。
古本屋で100円(+税)で売られているのをたまに見かけます。全3巻を揃えるのに必要なお金は300円(+税)と考えていいでしょう。
推しの話『東京迷宮』
第3巻に収録。
他人と関わることを辞めた中学生が世界から拒絶された話です。
作中の“名もなき者ども(人と人との関係を失い、あるいは自ら絶って誰にもその名を呼ばれなくなった者の成れの果て)”になっていくまでの中学生の行動が痛々しくてたまりません。
「——ダレカボクヲ・・・シリマセンカ・・・?」の無機質な表情はトラウマものです。
最後に
すねやかずみ先生の『踊れ!墓場で・・・』もありますが、入手困難過ぎて読めずじまいです。
『踊れ!墓場で・・・』に限って言えばAmazonで全2巻が合計4,000円で取引されいるのを見て財布が涙ぐみました。
電子書籍化がもっと進み、絶版の漫画たちがさらに手軽に読めるようになることを願っています。